「究極の魔女」が我が家に来て以来――どうも、魔女の気配をますます敏感に察知できるようになったらしい。
「究極の魔女」が強烈な磁場を発生しているのか? それとも僕が魔女を呼び寄せる体質になってしまったたというのか? 既にLarrivee魔女探しの旅の本編は完結しているにもかかわらず、本編から外れた物語はまだ続いているようなのである。
今回はそんな物語の一つで、主役はこの魔女! 前回「大魔女の系譜」(大魔女の系譜 ~ 後編)で紹介した、古(いにしえ)の大魔女Presentationモデル。
これはその「古の大魔女」を見守り続けた記録である。
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トロント時代の「古の大魔女」。2007年、最初にインターネット通販で見た時の売値はちょうど7桁。
¥1,000,000-
――神の領域の値段だ。まず、他では絶対に手に入らない絶滅機種であることは間違いないのだが。売主はこのギターの希少性を知っているか、又は購入した値段が7桁だったか。Martin D-45と同等以上の価値があるギターであるからして、その値段は妥当であったとは思うのだけれど。
ただ、Larriveeでこの値段は需要があるのだろうか? 豪華絢爛タイプ1980年代のL-78 Presentationが¥800,000-で何年もずっと売れ残っている現状である。売れるんだろうか? 買うとしたらどんなヤツが? ――密かに見守る日々が始まった。
半年以上動き無し。やがて、値段が下がった。1980年代のL-78と同等の値段。
¥1,000,000- →¥800,000-
それでも動かない。まぁ、当然と言えば当然かな。
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それが2007年秋のある時、さらに、当初の神の値段の6割程度になった。中古ギターを楽器店で売る以上、あからさまな値下げは本来、好ましくない。ギターの価値を貶めることになり、結果、他のギターも含めて値崩れの原因になるのだから。
それでも売主はとにかく売れることを優先したらしい。「決算セール!期間限定スペシャルプライス!」だった。
¥800,000- → 期間限定¥600,000-
これでも動かないのか――と思っていたら、ある日ネット上から姿を消した! おお。売れたのだ。さすがに一昔前のLarrivee最上位モデル。現行の新品と同程度の値段まで落ちれば、こちらがいいと思う輩も出るのかも。
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その後――数ヶ月。買われた大魔女はどうなったんだろう? 見守り続けていただけに気になる。こんなことなら一度くらい弾きに行けばよかった→東京
でも、こんなギターを買った人はそうとうに拘りのある人に違いない。もし、ブログにでも登場したら――と思って検索すると……見つけた! 新たな所有者はギター愛好家で、オールドラリビーに憧れていたらしい。ブルース・コバーンから入った、という正統派のオールドラリビーファンとのこと。やっぱりね。そういう人じゃないとあの大魔女は買わないよなぁ。
いい人のもとへ行ったようだ。時折、現状が報告されていた。
ほとんど弾かれていない眠り姫であること――。
当然、不具合有り――。
専門店にて治す――。
いい音である――と。
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ところが――2010年になって、どういうわけか再びインターネット上に現れた! 手放したらしい? あんなに気に入っていた様子なのに、何故?
こうして思いがけず、再び大魔女を見守る日々が始まった。