第二期の始まり  

 二代目Larrivee C-05 Eagle Specialの購入で幕が開いたアコースティックギター第二期。勢いのままいざ出航、と錨を上げたはいいけれど、航路も目的地も決まらないちょっと困った状況での始まりとなった。

 

 さて、このギターでどんな活動をしようか?

 

 きっかけは、なんとなくギターを弾きたくなったこと。そう、なんとなく。その先に明確な展望はなく、活動の方向性は全く見えていなかった。というのも――。

 

 学生時代(「第一期」と命名)は最初からずっと弾き語りスタイル。でも、当時は歌が致命的にヘタクソだった。いくら練習しても全く「普通」レベルにさえなれず、ましてや、敬愛する某フォークデュオのボーカルの域になんて決して届かない――そんな現実を自覚するだけの結果に終わった。第一期の活動を停止した最大の原因は初代Larriveeを手放してしまったことではあるけれど、でも実はこのことも大きい。

 

――といったトラウマ(?)もあって第二期では、即、弾き語りの再開とはならなかった。むしろ、弾き語りの選択肢はハナから無かったというのが正しい。

 

 では、弾き語り以外って?

 

 考えても何も浮かばず、まずは久しぶりのアコースティックギターの感触を楽しむことにする。ところが――覚悟はしていたけれど――これがまともに弾けず、楽しむどころではない。長いブランクの影響は想像以上だった。

 

 方向性以前に本格的なリハビリが必要かな? と「はじめてのアコースティックギター」みたいな教本を試してみた。すると、やはり基本のアルペジオあたりからして全くあやしい、おぼつかない! 第一期の頃はピック弾きを多用する奏法だったせいか、指弾きなんて本当に初心者の頃以来やってなかったっけ……。

 

 否応なく、最初に取り組むべき課題は「指弾き」になった。「はじめてのアコースティックギター」は本当に初心者向けの内容で、リハビリが進むにつれて課題のクリアが容易になっていった。 後半は課題曲集。けれど、新しめの知らない曲が多くていまいち気乗りしない……。そんな中で、最後の方に「ロマンス(禁じられた遊び)」が載っていた。アコースティックギターの教本になんでクラシックの曲が? と思ったけれど、面白そうなので挑戦してみた。すると、初心者向けの割にきちんとフルコーラスの楽譜になっていて、これがなかなかに弾き応えがある。一週間程練習すると、なんとか弾き通せるようになった。 

 

 指弾きって面白い! ――なんとなく方向性が見えた気がした。

 

 

<完>