2010年――。
わが家の「神棚」(※注)を見ると、よくもまあってくらい同じタイプのLarriveeが並んでいる。(注:扉がガラス製のギター庫のこと……祀ってあるのが「魔女」だから邪神教だな)
魔物眼鏡を外して冷静に見ると、確かに似通った機種が多いことを認めざるを得ない――と言えなくもない――かもしれない――。僕としてはそれぞれに明確な用途の違いを見出しているつもりなのだが、事情を知らない人にはどうやらそうは見えないらしいのだ。
「何でこんなにLarriveeばっかりあるの?」という疑問には一言では「魔物だから」としか答えようが無い。すると「はぁ?」と首を傾げて、でもたいていの人は何故だかそれ以上深く追求しては来ない。
「それは、ね!」のフレーズで始まる小一時間の長話の危険な匂いを察するからだよ! ということらしいのだが――そんなに語るわけないぢゃないですか! 全く。何たる言われようだろう。失礼な!
思えば、数年前にギターを再開してからはずっと
【 ギター = Larrivee = 魔物 】
という悪魔の図式にどっぷりと囚われていたおかげで、Larrivee以外のギターは全く視界に入ってこなかったのだが、2009年、究極の魔女を迎え入れたことで呪いも解けたのか、ここんとこやっとギターに対する「目」がまともな位置に戻ってきた気がする。と言ってもギターが欲しいというわけでは決してない――はず。
・魔物じゃないギター
・演奏目的のギター
・純粋に楽器としてのギター
こういう「目」でギターを見ることができる。これは実に久しぶりだ。Larriveeの魔女探しが完結してやっと正しいあるべき姿になってきたってことだ。まことによろしきことである。
何より楽器屋の景色が新鮮である。今までは壁に掛けられたギター達が
【 石ころ 雑草 石ころ ♪♪魔物♪♪ 石ころ 雑草 石ころ 】
みたいに見えていたのが(どこが「楽器屋」だ!)、最近はちゃんと
【 Martin Gibson Martin 「Larrivee」 YAMAHA Guild ovation 】
と見えるようになった。えらい進歩だ。が、一方でこれはけっこう危険なことでもある。間違って余計な地雷を踏まないように気をつけないと。
ところで、当然のことだが僕もLarriveeが魔物化する以前は普通にそんな「非・魔物」のギターを使っていたのだ。ギター再開前だから相当昔の話ではあるが。幸いにも壮絶壮大なLarrivee魔女の物語本編は一応完結している(!?)ので、次回以降は番外編として魔物以外のギターについての話を少々。
<完>