~Larrivee Guitar Gallery ③~
2008年3月、カナダ・トロントの楽器店から個人輸入で購入。Larrivee創業の地からはるばる海を越えてやってきたL-10 Deluxe 1978は、予想をはるかに上回る驚愕のコンディションだった。表板はほぼ無傷、詳細に見ても傷らしい傷はほとんどない正真正銘の「Near Mint」。
このL-10の響きは「湧いてくる」感じがある。ギターの奥底から静かに湧き出てくる湧き水のような響き。やわらかい、それでいて芯のしっかり通った音……心が惹きこまれるような余韻だ。弾いていると僕の意識はたやすく時間を飛び越える。そして、遠い記憶の中の何かを呼び覚ます。それは細部のデザインだったり、ちょっとしたシルエットの曲線だったり、木の質感だったり、果ては、住んでいた四畳半の部屋の匂いだったり――。
この後「究極の魔女」L-78や「最後の魔女」L-28が現れなければ、間違いなく僕の究極の一本になっていたはずのギターである。
<<仕様>>
表板: Solid German Spruce
側・裏板:Solid Indian Rosewood
ネック:One-piece Honduras Mahogany
指板:Solid Ebony
下駒: Ebony
サドル・ナット:Ivory(現在はTUSQに置換)
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