魔道記~外伝(魔モノ図鑑編)

魔モノ図鑑④~SHUBBにハマる!  

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 SHUBBのカポを使い始めたのは、遅まきながら昨年のことである。コロナ禍の2021年、初代魔女の帰還と時を同じくして再びギター熱が高まっていた頃、ふと、気が付いた。カポタストを語る上で欠かせない一品を使ったことが無いことに!

 

 それこそがSHUBB。使用者が多いことから「世界一有名」とも言われているカポタストである。そんな存在をなぜ、今まで使っていなかったか。多分に、タイミングがなかった、としか言いようがない。

  

 1980年発売当初の値段は8000円。当時、清水の舞台から飛び降りる思いで買ったYAMAHA CP-200でさえ2000円だったので、まずとても手に届くレベルではなかったのだ。

 

 その後、特にYAMAHAのカポに不満はなかったし、弾き語りを再開するまではそもそも使用頻度も低かった。ささいなことだが、あまり好きではないミュージシャンが「SHUBBを使っている」アピールをしていた、などなど……。タイミングというより単なる食わず嫌いだったことも否めないが、ともかくその「タイミング」が昨年、ついに来たのだった。

 

 SHUBBについて調べてみてまず驚いたのは、値段が劇的に下がっている(いた?)こと。定価レベルで発売当初の半額、実際の売価は更にその6~7割だからYAMAHA CP-200並の価格帯だ。いつ頃からのことだろう? 最近急に値下げになったという話ではないのは確かだし、これも長年SHUBBの存在が全く視界に入っていなかった証拠だ。

 

 更には種類の多さ。アコースティックギター用のスタンダードな「C1」というタイプをはじめとして、クラシックギター用、エレキギター用、12弦ギター用、など多種あり。材質も、オリジナルのブラス素材にニッケルメッキのもの、ニッケルメッキなしのブラス素材、ニッケル、ステンレス、アルミと多岐にわたり、それに加えて色の違い――バリエーションが多彩すぎる!

 

 おまけに「C1」においては、今は改良された二代目にモデルチェンジされていた。1980年に登場した当時の旧型も一部のモデルで売られているが、「C1」としてはすでに新型に切り替わっているのだった。どうやら、一口に「SHUBBのカポ」と言ってもそれが示す先は思ったより複雑に入り組んでいるらしい。

  →https://kcmusic.jp/shubb/(キョーリツコーポレーションのSHUBBのページ)

 

 どれを使うのが正解なのかよくわからないが、考えてもしょうがないのでともかく一度試してみることにする。

 

 新型が出てはいるが、まずは当初のオリジナルを試してみたい。旧型ではブラスフィニッシュの「C1b」が現行品としてラインナップされているのだが、探してみるとたまたま「noir(ノワール)」という黒色シリーズに旧型「C1」に該当する「C1k」という在庫品を見つけた。

SHUBB C1k (旧型)
SHUBB C1k (旧型)

 

 すると――これが、良い!

 

 ワンアクションで着脱ができる上に締め込み具合の調整も可能。おまけに音が良い。これはまさに

スクリュー式とクリップ式のいいとこ取りである。

 

 難点と言えば、締め込み具合の調整は取り付ける前に行う必要があること。曲によって取り付けるフレット位置を変える場合は、その都度調整が要るのだが、それでもスクリュー式よりは楽な印象だ。

 

 気に入った。これは一気に「日常使いカポ」の一角を脅かしそうな様相を呈してきぞ。こうなったら”始祖”の「C1(旧型)」を是非とも試してみたい――思えばこれが今に続く「SHUBB沼」の入口だったのだが、この時はまだ知る由もない。

 

 

 さて、「C1(旧型)」は廃番商品なので、フリマサイトを検索してみるとけっこうな数がヒットした。どうやら基本的な仕様は変わっていないが、長年に渡って販売されてきた商品だけあって、細部は色々と変遷しているようだ。出て来るのは旧型が圧倒的に多く、やはり新型に切り替わったのは近年のことなのだろう。

 

 出品されている旧型を見比べてみると、本体ではゴム部分の色やロゴ面の仕様などで違いが判別できるのだが、ネットで調べてみてもそれらが年代による特徴なのかはわからない。

 

 パッケージの画像と文字からは、昔はアメリカ製だったがその後はアメリカ以外の国で製造されていたらしいことが推測された。ただし、なんとなく古いとか新しいとかはわかるのだが、いつ頃のものなのかまではわからない。

 

 つまり、なるべく1980年発売当初に近いものを、と思ったらパッケージの製造国くらいしか判別できるポイントがない、ということである。パッケージがないものはそれすら難しい。

 

 では本体だけで何かヒントになる部分はないのか? と、画像を見ていると――あることに気付いた。

 

 本体には「SHUBB」の文字の刻印があって、その他に「PATENTED」の文字があったりなかったり。この「PATENTED」も手がかりになりそうなのだが、それより気になったのは、その横にある文字、というか記号だった。

 


 🏴(旗?)……💗(ハート)……🥎(野球の球)……🍎(林檎?)……何だ? これは――!!

 

 

 続く…

 

2022.04.16