魔道記~外伝(魔モノ図鑑編)

魔モノ図鑑④~SHUBBにハマる!  

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 🏴(旗?) 💗(ハート) 🥎(野球の球) 🍎(林檎?)

  

なぜ、こんな記号が描かれているのか

何種類の記号があるのか

いつ頃から描かれるようになったのか

記号のある物と無い物の違いは

………

 

 見た瞬間にこれだけの疑問が頭の中を駆け巡った。考えてみる。

 

記号の意図するものは――個体識別用? でも、それならシリアル番号の方がよくないか? そもそも量産品に個体識別の必要ある?

何種類――?

何時頃から――??

記号有無の違いは――???

 

 全くわからない。そもそも仕様の変遷が分からない以上、現時点では答えを知りようがないのである。一応ネットで調べてみたが、やはりどれ一つとして答えはない。そもそも記号についての言及さえ皆無なのだ。

 

 全ては謎、ということである。

 

 ならば、自力で画像を集められるだけ集めて細部の違いを見て行くしか手がない。これは何だかLarriveeの初代魔女を探していた時のような感覚だぞ――。

 

 

 ネットの画像を調べてみると、まず、記号は見つかっただけで十種類以上――かなり多い! そして、その他にも興味深いことが分かった。

 

 文字の向きが逆の物があるのだ。

 

左向き
左向き
右向き
右向き

 

 数が多いのが左向きの方だ。とはいえ、右向きも何個か確認できたのでイレギュラー品というわけではなさそうだ。これはいったいどういうことだ?? 新たな謎が増えた。

 

 とりあえず現物を見てみたい。気に入った記号で、三日月とハートを。できれば左向きと右向きを一つずつ、と――フリマサイトでアンテナを張っていたら一カ月ほどで入手できた。 

ハートの記号
ハートの記号
6弦側から取り付け
6弦側から取り付け
ネック裏から
ネック裏から
三日月の記号
三日月の記号
1弦側から取り付け
1弦側から取り付け
ネック裏から
ネック裏から

 

 右向きの物は1弦側から、左向きの物は6弦側から取り付けると、ネック裏から見て「SHUBB」のロゴ文字が逆さまにならない。どちら側からの取付けにも対応していることになるのではないか。これは「フ」の字型カポをどっち側から取り付けるんだ問題(※1)に対するSHUBBの回答ということか? いや、はたしてそこまで深く考えられた仕様なのだうろうか?

 

 真相はともかく、使う側の立場としてはありがたい。気にしている人は少ないのかもしれないが……。

 

※1:SHUBBにハマる その2 参照

 

6弦側からの取付けと1弦側からの取付け
6弦側からの取付けと1弦側からの取付け

  

 さて、今回手に入れた二品については、おそらく製造年代は異なると思うが動作に差は感じられない。単なる外見の細かな違いのみ、という印象である。時代を経ても道具としての品質は一貫していると思われる。あとは、やはり記号が気になった。いったい何種類あるんだろう?

 

 ちょっと集めてみようか――囁きが聞こえる。幸いにというか、ここのところ外出して消費する行為がほぼなくなったので、1個1000円前後で手に入るSHUBBを何個か買う程度なら財布にさほど負担は無い。

 

 ――で、気が付くと、その後半年ほどでけっこうな数のSHUBBが手許に集まってしまった。弁解しておくが、コレクションしている自覚は全くなく単なる興味本位の範疇である(と本人は思っている)。

 

 

 集まったSHUBBを比較してみると、新たにスクリューの頭のデザインの違いが……もう驚かないぞ!

 

 確認されたのは

 

 ・凸三重円

 ・凹三重円

 ・フラット

 

の三種類だ。

左:凸三重円               中:凹三重円              右:フラット
左:凸三重円               中:凹三重円              右:フラット

 

 

 ――で、ネット上の画像情報も含めて、これまでにわかった違いをまとめると下記の表のようになった。

 

 これは、ロゴの文字の右向き・左向き、 記号の有無、「PATENTED」の文字の有無、スクリューの頭の形状、の組合せパターンである。   

 

 ロゴが右向きの物はPATENTEDがあるパターンのみ。一方でロゴが左向きの物は記号とPATENTEDの有無が全組合せパターン存在する。ただし、現在までの調査した範囲に限った話なので、これ以外の組合せも存在すると考えていいだろう。

 

 そして、問題の「記号あり」の場合について、記号は下記20種類を確認。 

※手描きで再現したので多少実物とは異なる
※手描きで再現したので多少実物とは異なる

 もちろん、これも全種類ではなく、いったい全部で何種類の記号が世に出ているのかは想像もつかない。

 

 

 これらの違いは製造年によるものなのだろうか。製造年は、今のところパッケージである程度の新旧が推測できるレベルでしかないのだが――。 

左:1~2世代前のパッケージ 右:現行パッケージ
左:1~2世代前のパッケージ 右:現行パッケージ
パッケージ裏面
パッケージ裏面

 

 1~2世代前と思われる旧パッケージの頃はアメリカ製である。

 

 このパッケージのものには「PATENTED」の文字がある。記号については有る物も無い物もあり、スクリュー頭のデザインについては不明だ。

 

 一方、最初に買ったC1kが入っていたパッケージは、現行のデザインと思われる。

 

 これはアメリカ製ではないが、このパッケージでアメリカ製の物もある。現在の製造状況がどうなっているのかはこれだけでは判断できない。

 これらのパッケージがいつ頃使われていたかについて詳しくはわからない。つまり、現状では製造年の特定は無理、という結論だ――やれやれ。 

 

 

 製造年による違いが見えないから何とも言えないのだが、PATENTEDの有無やスクリューデザインは年代や製造国の違いによるものじゃないかと思う。ただ、記号についてはそれでは説明がつかない。皆目意味不明だった。

 

 ところがつい先日、その謎が解けたかもしれない出来事があったのだ。

 

 久しぶり(二年半ぶりくらい)に音楽仲間と合奏をする機会があって、ギター二本で伴奏を担当することになり、練習で顔を合わせたのだが、なんとその相方もSHUBBの旧型C1を使っていた。記号は僕のとは違うものだった。あ、なるほど。そういうことか!

 

 記号はやはり個体識別用なのだ。ただし、それは全個体をユニークに識別するためではなく、身近な集まりを想定した中で自分のSHUBBを間違わずに識別するのが目的だ。そう考えればシリアル番号より記号の方がわかりやすい――今のところ、これが記号の謎について最もしっくり納得できる見解である。

 

 

 SHUBBには、自分の好きな記号を選べるという、他のカポタストにはない独自の楽しみがあったのだ。それも、気が付いた人限定の。もしかしてこのこともSHUBBが「世界一有名」になった一つの要因かも? と勝手に憶測したりする。いや、どうだろう? ネットにそんな情報は無いから、特に気にされていない可能性の方が高いのかもしれない。だから新型には記号がなくなったのかな。

 

 そういえば、まだ新型の方は使ったことがない。まあ、そのうち手にしてみたいとは思っているけれど、僕が今後も使うのはたぶん旧型の方なんだろうな、と思いつつ――。

 

<完>

2022.04.26