「究極の魔女」が我が家に来て以来――これは魔女にまつわる不思議な物語の続きである。
◆1枚の写真
2011年――。
1枚の写真が出てきた。もう30年以上前の。
古い。110(ポケット)フィルム仕様の固定焦点レンズカメラで撮った写真は全体的に像が不鮮明だ。おまけに右上付近には指かストラップが黒く写りこんでいて、実はこれ、失敗写真なのだ。たぶん、そのせいで長らく存在を忘れ去られていたのだけれど。
場所は当時僕が住んでいた4畳半の部屋。風呂なし、台所・トイレ共同で、家賃が確か月8,000円。
そんな環境に全く不釣合いなこのギターは「初代魔女」Larrivee L-28 Deluxe Cutaway
そう。これは現在、たった1枚きりで他には残っていない思っていた「初代魔女」のもう1枚の写真。今となっては貴重な資料だ
左側の黒い物体はギターのハードケース。右側の白っぽい冊子は――ふきのとうコンサートのパンフレット。実は、今も持っているし。。。
◆◆◆
「初代魔女」は、学生時代に僕が初めてお金を貯めて買ったギター。100%憧れだった「究極の魔女」に対して、現実的にパートナーとして一緒に歩もうとしたギターだ。それが意に反して僕の手許から去ってしまった――。
それから時は流れ、ギター再開後に始まった魔女探しの物語。その本編は2009年に、「究極の魔女」の出現という予想を超えた結末で終結した。
ただ、魔女探しの目的は元々、この写真の「初代魔女」を見つけ出すことだったはずだ。それに関しては、惜しいところまで行って中断したままとも言える。
◆幻のラベル
そもそも「初代魔女」とは何者だったのか? 写真をよく見てみると、かなりピンボケだが、ラベルが見えている。
ラベルは、アコースティック・ギターのボディ内に貼られている紙で、かつて「初代魔女」の素性を調べた際にもおおいに役に立った
<魔道記~初代魔女の幻を追う編>
この時にも書いたが、これらの中で、僕の一番好きなデザインが「1980 Victoria label」だ。
このラベルは1980年~1981年にかけてたった2年しか流通していない。それゆえ、このラベルを持つ個体は非常に少ない。
実際、ギター再開後に数々の古いLarriveeを見たが、このラベルにだけはいまだ巡り合っていない。
そう、僕が見たこのラベルを持つギターの実物は過去にたった1本だけ――それが初代魔女だ。
◆再び初代魔女の影を追う
Larrivee史上、最も短命だったラベル――初代魔女のラベル。このラベルを持つLarriveeをもう一度、ぜひとも実際に見てみたい。そんな想いがよみがえってきた。
「究極の魔女」という超絶ラストボスを突破して、魔女探しの物語の本編は確かにクリアした。でも、こんなおまけのボーナスステージみたいなものがあってもいいのではないか? ということで――
ボーナスステージ:幻のラベルを探せ!
さぁ今、再び魔女探しの旅へ!
――と、思い立ったのが2011年夏頃のこと。
いや、気負いは無いからきっと楽しいはず、と、思っていたのだが。これが皆さんご想像の通り、「魔女」が絡むとだいたいが一筋縄ではいかない事態へと発展して行くのである。
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