魔獣と伝道師  

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◆ボーナスステージの条件 

 

 改めて「幻のラベルを探す!」とは言ってみたものの……究極の魔女を手に入れて以来、Larrivee熱は実際ほとんど冷めていた。 

 

 もし、あえて手に入れたいと思えるとしたら、それは「初代魔女」に限りなく近いこと! ということで、条件をもう一つ。 

 

ボディ形状:フローレンタイン・カッタウェイ

 

 これは初代魔女の幻影なんだよなぁ。もっと遡れば「究極の魔女」のシルエットなのだけれど――。 

 

 ところで。 

 

 ギター再開後7年余り。この間に、インターネットの画像でもこのラベルを持った個体はたった2本しか見たことがない。本当に希少種なのである。加えて、フローレンタイン・カッタウェイとなると――見つかる可能性は限りなくゼロに近い。

 

 むしろ、見つからないことが前提、くらいの軽い気持ちである。だからこそ、気負いの無いボーナスステージで、もちろん最初から長期戦のつもりだったのだが。 

 

◆例の不思議な既視感 

 

 2012年 夏――。この日は、大きな親族イベントを無事こなして一息ついていた。そんなタイミングで何気なく覗いたインターネットオークション。

 

 !!

 

 なんと――出た! ありえない絶滅希少種!

 


■■ Jean Larrivee Model L-27  ■■ 「カナダのギターメーカー、ラルビーの1980年頃のモデル、L-27 シングルカッタウェイです。  購入時の定価は55万円。  共和商会が初輸入した時のモデルで、当時のカタログではラルビーと表記してあります。」

 ↑オークション画像と説明の再現

 

 これは「初代魔女」と同年代で、グレードが1つ下の「Inlay Cataway」というモデルだ。そして―― 

・「1980 Victoria 」ラベル 

・フローレンタイン・カッタウェイ 

なんと、探している条件に見事に合致している。 

 

 おまけにユニコーンのヘッドインレイも悪くない。というか、カッコいい! 

 

 思いもかけず、これが7年間で見かけた貴重な3本目である! むむ。このタイミングか! あ~。もちろん、見つけちゃったからには落札する方向に動き始めるのだが。

 

 問題はそれだけじゃなかった。あの時の不思議な感じがなぜかまた――。 

↓ 

<魔道記~究極の魔女編> 

 ▸究極の魔女 3

 

 え? 

 

 予期せぬ「例の違和感」である。またしてもこの画像のギターに何かあるというのか? 

 

 でも、過去にはこのL-27というモデルにも、ユニコーンのヘッドインレイにも、僕は何の関わりもないはずである。そのことは絶対に間違いない。この個体は僕の過去とは無関係。絶対に。 

 

 なのに。消えない違和感――。無意識の領域からの警告――。これはいったい? 

 

 

 まぁ、信じよう。「例の違和感」なら、正体は追々わかるだろうから――ということで。

 

 断固たる鉄の意思を持って入札! 結果は――中途半端な覚悟で入札する輩は木っ端微塵に粉砕し――見事、落札!

 

 そして予想通り「例の違和感」の正体が明らかになるのだが――。

 

 

 この後、想像もしなかった展開が待っていようとは!